Arts in Prisonはどこで学べるのか

今回は、「Arts in Prison」や「刑務所における芸術活動」を専門に学びたい場合、どのような大学があるのかを紹介していきたいと思います。

アメリカ・ミシガン州:ミシガン大学

Prison Creative Arts Project(PCAP) の記事でも紹介した、ミシガン大学(University of Michigan)。
PCAPにはいくつかのコースが用意されていて、Webサイトで確認できます。
例えば、2019年冬のコースの一つに「Theatre and Incarceration(演劇と刑務所)」というものがあります。このコースでは、刑務所での演劇の歴史について囚人が書いた戯曲や、刑務所で演劇をつくった記録を読んで学ぶほか、実際に週に一度は成人の刑務所に通い、受刑者と演劇ワークショップを実践していくようです。学期の終わりには、ワークショップの成果となる公演も開催されるようで、大変興味深いですね。
その他、詩(Poetry)や写真などのコースがあり、いずれも実践を要します。


ミシガン大学生向けのコースなのか、留学生も入っていいのかはわかりません。
PCAP自体はあくまで大学内の団体(あるいはプロジェクト)であり、何かの研究科ではありません。
そのため、ボランティアとして関わる方法もあるようです。
ワークショップのファシリテーターとしての訓練を受けたり、展示の計画やカタログの編集など、関わり方を多様に用意しています。

研究科として母体となっているのは「College of Literature, Science, and the Arts(LSA)」です。

アメリカ・コロラド州:デンバー大学

次は、コロラド州にあるデンバー大学です。
ミシガン大学と違ってあまり聞き慣れない名前ですよね。
ここには、「University of Denver Prison Arts Initiative (DU PAI)」というのがあります。

このプロジェクトも、PCAPと似たような活動として、コロラド州の刑務所に収容されている人たちにクリエイティブな活動の機会をつくり、釈放時の地域社会へのポジティブな変化をもたらしたいとするものです。

このプリズン・アート・イニシアティブの説明を見ると、「therapeutic arts programs」と書かれており、アートセラピー的(治療的)なプログラムと捉えられそうでしょうか。
プロジェクトメンバーを見ると、教員の他に、法医学心理学の修士2年生や、心理学研究科の博士課程などがいるので、心理学系の学科に入学すると関わる機会ができるかもしれません。

ここでのArts in Prisonは心理学、セラピーの要素があるようですね。

公立のミシガン大学と異なり、デンバー大学は私立の大学となります。
PCAPと同じく、これはデンバー大学のプロジェクトであり、研究科の名称ではありません。
母体は「COLLEGE OF ARTS, HUMANITIES & SOCIAL SCIENCES」のようです。

アメリカ・フロリダ州:セントラルフロリダ大学

ここからは、芸術に特化せず、刑務所向けの教育プログラム(Education Program)を持つ大学です。
まず最初は、公立大学であるセントラルフロリダ大学(University of Central Florida)です。

FLORIDA PRISON EDUCATION PROJECT(FPEP)は2017年に設置された、新しいものです。
フロリダで収容されている受刑者に対し、大学の学部教育(高等教育)の機会を提供すると同時に、刑務所における教育の社会的利益を研究する機関でもあります。

このプロジェクトが立ち上がった背後には、増え続ける刑務所人口に対し、フロリダが刑務所での大学プログラムを持たない12の州の1つであったこと、再犯率の高さなどがあります。

そのため、受刑者にかける教育のコストと、刑務所人口が増え続け再犯が生じることのコストと比較するようなデータを示し、教育の重要性を認識しています。
良き市民となるには、社会的な連帯と学歴と雇用が重要であると考え、様々なプログラムが組まれています。

このプロジェクトに関わり学ぶには、学生インターンや学生ボランティアとなる方法がありそうです。
(日本人が受け入れられるかはわかりません)
参加者を見ると、芸術や人文系専攻の人が多そうですが、科学やエンジニアリングなど様々なメンバーがいるようです。

 

その他、刑務所向けの教育プログラムを持つ大学

このような、刑務所向けの教育プログラムを持つ大学は、他に以下のような大学が見つかりました。