刑務所の壁をキャンバスに

刑務所の高い壁といえば、社会との切断、隔離を象徴するものですが、巨大なキャンバスと思って囚人たちも参加しながら壁画が描かれるケースが、世界各所であります。

エクアドルの女性刑務所

画家のミヤザキケンスケさんは、世界中に壁画を残す活動Over the Wallのプロジェクトの一貫として、2018年にエクアドルの女性刑務所で受刑者たちと壁画制作を行いました。

佐賀新聞が伝えるところによると、「高さ4メートル、長さ40メートルの大壁画制作に協力した女性たちは「私たちの生活が変わった」と、完成披露前日に涙を見せたと」いいます。

この女性刑務所には、現在約60名の受刑者が収監されており、同施設には受刑者の子どもを預かる施設があって、母親以外に頼る存在がない乳児、幼児約40名が母親と共に塀の中で生活をしているそうです。刑務所という閉じられた環境で暮らす子供たちに、少しでも明るくポジティブな幼少期の記憶を残してもらうために、また受刑者である母親と共同で壁画を制作することで、彼女達の社会復帰後の社会生活を前向きなものにしたいという思いで制作を行ったとのこと。

ミヤザキケンスケさんのWebサイトでは、より詳細が語られていますので、ご参照ください。

スペイン北部の刑務所

また、2019年5月29日のTABI LABOの記事『スペインの刑務所に描かれた「希望の大木」』で、刑務所の壁に描かれた壁画が紹介されています。

Copy right PEJAC

TABI LABOの記事では詳しく触れられていませんが、調べてみると、スペイン人アーティストのPEJACの作品、プロジェクトのようです。

※参照:designboom, ”artist PEJAC transforms spain’s oldest prison with help from inmates

 

日本では・・・

日本国内では、刑務所の壁の内側ではなく、外側の壁に描かれる事例がありました。

例えば、広島拘置所の外壁には、画家の入野忠義さんによる壁画が1989年からあったそうです。以下の動画は、2013年にリニューアルした新たな壁画(同じく入野忠義さんによるもの)で、江戸時代の城下町の様子を絵巻物のように描いた壁画です。(広島ニュース Tabetainjyaより)

また、直近のニュースでは、松江刑務所の入り口に、松江養護学校の学生が「春夏秋冬」をテーマにしたかわいい壁画が描かれました。(2019年7月31日山陰中央新報記事より)

山陰中央新報記事より「「春夏秋冬」をテーマに描いた壁画に見入る通行人」