アメリカ:Actors’ GangによるPrison Project

前回と同じく、アメリカ・カリフォルニア州で取り組まれている活動として、
Actor’s Gangという団体が実施しているPrison Projectを紹介します。

Actors’ Gangは、アメリカのカリフォルニア州カルヴァーシティにあるIvy Substationという実験劇場を拠点に活動する非営利団体で、1981年に劇団の芸術監督でもあるティム・ロビンスを含む俳優のグループによって設立されました。

これまでにロサンゼルス、米国45州、5大陸で200以上の演劇を制作してきており、アウトリーチ活動として、ロサンゼルスの若者を対象に学校内や放課後、夏のサマープログラムの中で、劇団の俳優と若者達とでオリジナルの演劇を作るプログラムを提供しています。

Prison Projectは、カリフォルニア州において受刑者の10人に6人が出所後3年以内に刑務所に戻ってしまうことへの課題に対し、再犯率の低減を目指し、2006年からカリフォルニア州の刑務所で実施している芸術プログラム(ワークショップ)です。

ワークショップは、様々な人種が集まってオープン・ディスカッション、演劇教育、パフォーマンスを組み合わせたプログラムで、刑務所の中ではできない、感情を表現することができる安全な場を作り出しています。

Prison Projectはボランティア活動により運営されていたが、カリフォルニア・アーツ・カウンシルによる助成も行われ、プログラムの発展と拡大が期待されています 。

2016年3月14日のBBCニュースでは、Prison Projectが再犯率を下げ、刑務所内の暴動の数も減らすといった効果に触れながら、参加者の感想として、「12年間の刑務所生活の中で初めて再び人間を感じることができた」や、「Prison Projectが、自身を元気づけるために自身の過去を許さなければならない最初の機会となった」と報じられています 。

Prison Projectの参加者を含む、芸術プログラムに参加した受刑者を対象に実施した調査レポート「The Impact of Prison Arts Programs on Inmate Attitudes and Behavior: A Quantitative Evaluation」(Larry Brewster,2014)では、刑務所での芸術プログラムは、受刑者及びその家族、刑務所にも肯定的な成果をもたらすことが結論づけられています。