第43回 府中刑務所 文化祭

2018年11月3日に開催された第43回府中刑務所 文化祭に行ってきました。
府中刑務所文化祭は、毎年「文化の日」に開催される刑務所が一般公開されるイベントです。全国の刑務所が、刑務所の一般公開イベントとして「矯正展」を行うのですが、府中刑務所は珍しく「文化祭」と銘打って実施しています。

主なイベントは以下の通り。

・刑務所作業製品の展示・販売(矯正展)

全国の刑事施設(刑務所等)で作られている家具や革製品など刑務作業品の即売会。
函館少年刑務所で製作されている”マル獄”シリーズの布製品も例年人気があります。

・府中刑務所施設見学(プリズンアドベンチャーツアー)

府中刑務所の内部が一般公開されて見学ができます。
時間:10:30~14:00

・府中刑務所製パン・プリズン弁当の販売

刑務所で作られた『ぶどうパン』と『コッペパン』のセット販売。
プリズン弁当(刑務所レシピ弁当)の販売。
例年、買い求める人で長い列ができます。

・模擬店

やきそば、焼きとうもろこし、フランクフルト、綿菓子などの屋台が出店します。

・刑務作業の体験・実演コーナー
・折り紙夢工房による折り紙体験(無料)
・電動ろくろを使った窯業体験(無料)
・好きな名前を彫ってもらえる、千社札の製作実演(有料)
・親子で大工体験 [木製小イス置物の製作](有料)
・ステージイベント
・府中刑務所職員バンド『デビルス』による演奏
・おはやし実演
・阿波踊り
・エイサーの実演
・中学校合唱部による合唱
・性格検査コーナー
・ちびっこ刑務官(制服姿)の写真撮影
・防災コーナー(パトカー・白バイ・消防車・起震車の展示・体験乗車)
・写真パネル及びDVD等による矯正広報

プリズンアドベンチャーツアーへの参加

朝早くから並んで、プリズンアドベンチャーツアーに私も参加し、刑務所内を見学させていただきました。

写真わかりますでしょうか。「入場券」ではなく「出場券」となっています。これを入り口で受け取り、出る時にはこれを見せないと刑務所を出られないという…(笑)。

入る時には、荷物チェックはもちろん、全ての荷物をビニール袋のようなものに入れて、袋の口を縛り、もちろん中ではスマホの使用は禁止です。

入り口では職員が注意事項をたくさん述べたうえで、

「 あれもダメ、これもダメと禁止事項ばかりで申し訳ありません。しかし、これが刑務所なのです」

というアナウンスにお客さんも笑います。

刑務所内は指定されている場所のみ各自が自由に回れます。職員のガイドがつくわけではありません。刑務作業を行う工場内やお風呂場なんかを見ることができました。お風呂場には、入浴に関する細かい注意事項があり(かけ湯は◯杯まで!みたいな)、さらにもみあげの高さまでイラスト付きで掲示板に案内されていました。

これは、私が見学を終えたあとでしたが、まだ長い列がありました。見学ツアーは早めに並ぶことをおすすめします。

府中刑務所とは

東京都府中市に位置する府中刑務所は、主に犯罪傾向の進んだ収容分類”B”の男性受刑者と、外国人受刑者の”F”の男性受刑者が多く収監されている刑務所で、暴力団関係者も多い施設と言われます。
もともとは、戦後の戦犯の収容施設であった巣鴨刑務所(巣鴨プリズン)が、1923年に関東大震災により全壊し、1935年に現在の府中に移転してきたことが始まりとされます。なので、80年以上の歴史がありますね。

受刑者の文芸作品(短歌の部)の展示

府中刑務所の文化祭では、受刑者の文芸作品の展示もあり、短歌の中には、

「手作業でアメリカ人とたとうしを
   作りぬ今日も身振り手振りで」

という歌がありました。外国人受刑者の多い刑務所だけあって、言葉の壁をボディランゲージで乗り越えようとする受刑者の姿が浮かびますね。こうした展示も楽しみなポイントの一つです。
ちなみに、外国人受刑者への職員側の対応として、「国際対策室」という部署を持っているのも府中刑務所の特徴のひとつです。

府中刑務所機関誌「富士見」

刑務所内では、受刑者らの文芸作品を収録した機関誌「富士見」が発行されているようで、受刑者が創作した短歌や俳句の他、絵画や随筆、小説などが収められた小冊子が毎月発行されているようです。原稿はもちろん受刑者が投稿したもので、印刷は府中刑務所内の印刷工場にて、まさに地産地消の文化事業ですね。
残念ながら販売はされておらず、この場で読むしかありません。表紙の絵も受刑者が描いたもののようです。

府中刑務所の雑居、独居の様子は模型で展示されていました。

府中刑務所製のパンは大人気で、どこの矯正展を訪れても常に長蛇の列で、そしてすぐ売り切れるほどの人気なのですが、府中刑務所内の食事は、外国人も多いこともあって「パン」が多いんだとか。

各刑務所で特徴があって非常に興味深いです。

参考

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